2004年から毎年年末にTBSで「プロ野球戦力外通告・クビを宣告された男達」が放送されていますが、番組では戦力外通告された選手たちに焦点を当て、厳しいプロ野球の世界が描かれています。
人知れずこの世界を去っていく選手、あくまでもプレイすることにこだわって生きていく選手など様々な生きざまが紹介され、毎年話題となっています。
ただ、番組でも出てくるかもしれませんが、プロ野球における戦力外通告、自由契約、任意引退、トライアウトなどの意味を正しく知っておくとさらに内容がよくわかると思います。
ここではプロ野球における戦力外通告、自由契約、任意引退の違い、トライアウトなどについてわかりやすく紹介します。
戦力外通告、自由契約、任意引退の違いを知る上での予備知識
戦力外通告、自由契約、任意引退の違いを知るには、その背景となっていることをおさえておくと理解が早いと思います。
プロ野球の契約期間と契約更改
プロ野球の各球団と選手の契約期間は、毎年2月1日から11月30日までとなっています。
選手としてプレイを続けていくためには、複数年度契約でない限り毎年契約の更新(契約更改)が必要となります。
また、契約更改までにはある程度の交渉期間が必要となります。
この交渉期間はいつからいつまでと決められているわけではありませんが、契約が切れる前の11月上旬頃から行われることが多いようです。
なかなか交渉がまとまらずに年を越す選手が毎年話題になりますね。
支配下登録選手と選手登録
支配下登録選手とは、一軍と二軍に登録された選手のことをいい、最大70人までと定められています。
支配下登録選手に育成選手は含まれません。
このうち、一軍の選手登録枠(出場できる選手数)は28人、試合のためにベンチ入りできる選手はそのうちの25人と定められています。
怪我したり調子が悪かったりで試合で使えない選手は登録を抹消するなどして、この人数の中でやりくりしてペナントレースを乗り切るわけですね。
各球団は、通常、支配下登録選手70人という枠をギリギリまで使っていることが多いため、新人選手や外国人選手を新たに取ろうと思えば、当然この枠から外れる選手が出てくることになります。
これらの選手に対して行われるのが「戦力外通告」です。
戦力外通告とは
戦力外通告とは、来年の2月から始まる次年度の契約を結ばないという球団の意思を選手に伝えることをいいます。
戦力外通告を受けた選手は、引退して第二の人生に進むか、12月初旬に行われるトライアウトに参加するなどしてプレイ続行の道を探るかの選択を問われます。
契約しないということは解雇・クビを意味し、選手の人生に関わる通告となるので、通告期間は厳格に規定されています。
第1次通告
10月初頭からシーズン終了の翌日までに行う戦力外通告です。
2021年は10月4日から25日までとされています。
2021年はドラフト会議が例年より早く行われたため、その結果を見てから戦力外通告を行う球団もあったようです。
第2次通告
各リーグのクライマックスシリーズ終了翌日から日本シリーズ終了の翌日までに行う戦力外通告です。
トライアウトとは
トライアウトとは、入団を希望する選手を集めて12球団合同で行う入団テストで、試合形式で行われます。
正式には、「NPB12球団合同トライアウト」といい、毎年12月初頭の自由契約選手公示後に行われます。
2021年のNPB12球団合同トライアウトは12月8日に行われます。
自由契約とは
自由契約とは、支配下にあった球団との契約が終了するなどして、どこの球団でも自由に契約できる状態のことをいいます。
例年、10月から11月にかけて戦力外通告された選手が11月末に契約を終了した時点で自由契約になるということになります。
通常は、12月初頭に自由契約選手が発表、公示され、その後、選手は全ての球団との入団交渉ができるようになります。
もちろん、戦力外通告以外の理由で契約期間途中に契約が終了した選手も自由契約ということになります。
2021年は12月2日(水)に自由契約選手が公示され、トライアウト後から入団交渉が解禁されます。
任意引退とは
任意引退とは、選手が自ら現役引退を希望して引退した場合のことをいいます。
通常、選手が理由を記した引退申請書を球団に提出し、それに球団が意見書を添付してコミッショナーに提出し、受理されれば任意引退選手として発表、公示されます。
戦力外通告と自由契約、任意引退の違いのまとめ
ここまでの説明でおわかりかと思いますが、戦力外通告は各球団が次年度の契約をしない選手に対して行う通告で、自由契約はどこの球団とも契約していない選手の状態を表しているという点で違いがあります。
また、任意引退も自由契約と同じく選手の状態を表していますが、任意引退が選手自らの意思で引退することを指すのに対し、自由契約は契約更改しないという球団側の意思で起こるという点で違いがあります。